病室で、ユタの思い出。

854BD179-5928-47FA-8BFF-D0A0EE5F19A8.jpg父の名は桂一、母の名は啓子。(仮名)
両親は80を超えた。

父は まだまだ元気に動き周る。
しかし、母は 身体の不自由を訴えるようになってきた。
ある日、生理のような大量の出血。

病院へ__子宮付近にシコリ__ガンと診断__手術__無事に終了。

術後の付き添いで長い会話。母は昔を回顧する。

​「無事に終わったよ、先生も(順調ですよ)おっしゃってくれた、安心だよ。」

「ごめんね、心配させたね、まだ痛いから動けないさ、この歳で手術だなんて‥これが20年前だったら、”不足があって 病気したにちがいない”思ってユタに判断してもらってたね‥サトシは とうとう あのまんま、 エツも相変わらず、現実から逃げてばかり‥  
 たくさんユタに判断してもらったね‥良かったのか、間違いだったのか‥”父さんの先祖事で、なんで嫁に来た 私が こんなに苦労しないといけないのかっ!”他にも親戚嫁いるのになんで私が!”何度も思っていたよ‥でも子供達の為だ思って、サトシを元に戻したい、エツを救いたい、せめて他の子には何も起きないで欲しいからって、”ユタにすがるしかなかったよ‥

いろんな事、教えてもらったね、でも、見えない世界の事は今でも、よく分からんさ‥

 判断してもらったユタの人、みんな亡くなって いないさ、グソーで何してるかね‥
アラカキのおばさん、 西原の大宜味さん、浦添のお婆さん、石川の叔父さん、恩納村の蓮連さん、大里の富間さん、市場の中さん‥  皆んな いなくなったさ‥

   与那嶺さんね、”もうユタ事やらない”らしいよ、判断するとね、客の物が 身体に取り憑いて 身体悪くして大変になるらしいよ‥若い頃みたいに振り払う事が出来なくなってるんだってさ‥だから自分の命に関わるようになったから 出来ないらしいよ‥‥

一番哀しいのは ‥ハジ、あんたの嫁のお母さん、カズさんが もう居ない事だよ‥あの人に会わなかったら‥ユタは全部 ”詐欺師だ” 思っていたよ、信じなかったよ‥
私より、10も若いのに早く亡くなるなんて‥

 あの人達は、神様に守られているから、私たちより長生きする思っていたのに、なんで神様は もう少し長生きさせなかったかね、いい人達から先に持っていかれて、何もできない私たち夫婦は長く生かされて‥
   皆んな一生懸命だったね、カミの言葉に、本当かどうか分からんままに真摯に動いたね‥お金たくさん使ったね、でも あの人達も その分 たくさん使っていたからね‥  今、グソーでカミさま達とユンタク(雑談)してるかね、笑ってたらいいね‥
  
 今の若者は”ユタは占い師と同じ”思ってるんでしょうね、もう この沖縄には ユタは要らないでしょうね、そんな風にかんじるさ、

「母ちゃん、俺たち兄弟は 成功しなかったけど、母ちゃんの思いは叶わなかったけど、サトシやエツは解明されていない病気だったと、俺は思って受け入れているよ。それに、カミ様は母ちゃんに可愛い孫達を与えてくれたじゃないか 。」
   
弱々しい笑顔、ベッドに横たわり 寝息を立てる。

「母ちゃん もう 休め。」
 
__私は母の人生を よく知らない、哀しみも。
        ユタにすがり、何を見てきたのか、少しずつ尋ね 母のユタとの生活を整理しよう。__
 


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